ユーザー事例


 スイスに拠点を置く製薬会社のロシュは、同社のIT研究所センターである「ファーマ・インフォマティクス・マドリッドサイト」で設計されたエンタープライズ向けRed Hat®ソリューションを導入した。イタリアのマドリッドにある同センターでは、世界中の同社グループ企業にITサービスを提供している。Red Hatのソリューションを利用することによって、柔軟性を高め、システムの管理や自動化を最適化し、アプリケーションの市場投入までの時間を短縮することに成功した。
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レッドハット製品
Red Hat JBoss® Enterprise Application Platform
Red Hat JBoss Operations Network
Red Hat JBoss Data Services
Red Hat Satellite
Red Hat Enterprise Linux®

導入の背景

広範囲にわたる運用を実現するためには、
スピードが必須

ロシュは、研究開発によって医療関連の製品やサービスを提供する企業だ。画期的な診断手法を発見し、開発することで、疾病の予防や早期発見、診断から治療、経過観察に至るまで、あらゆる製品やサービスを提供している。
ファーマ・インフォマティクス・マドリッドサイトには、グループのグローバルITインフラストラクチャサービスのほとんどが集約されている。同センターは創設以来、6つのグローバルデータセンターをサポートしてきた。さらに、マーケティングや物流、財務、人事といった、各部門の主要なビジネスプロセスに適した戦略的ソリューションも提供している。
同センターでは、ロシュのグローバルな研究開発部門もサポートしており、100件を超える同社の重要な国際プロジェクトにも参画している。また、150カ国11万5,000人のユーザーにITサービスを提供しながら、同社のインフラストラクチャのメンテナンスも担当しており、8,000台以上のサーバーと 200,000台以上のコンピュータの管理を行う。ストレージ容量は、2.8ペタバイトを上回る規模だ。
ロシュは、同社の優良バイオテクノロジー子会社であるジェネンテック社の200に及ぶアプリケーションを含め、約600の Java™アプリケーションをデプロイした。これらのアプリケーションをホストするアプリケーションサーバーは、ITインフラストラクチャにおいて極めて重要なテクノロジーであり、そのアップグレードは慎重に進められねばならなかった。

ゴールは、市場投入時間を短縮すること

ミドルウェアプラットフォームの刷新を検討するにあたって、ロシュは主なゴールとして2つの目標を掲げた。1つはインフラストラクチャの効率向上であり、これには、次のような課題が挙げられる。

  • 開発者の作業負荷を軽減し、市場投入時間を短縮すること
  • インフラストラクチャの供給の改善
  • 運用の最適化
  • Javaアプリケーションの開発の促進

2つ目の目標は、ベンダー依存を避け、プラットフォームの柔軟性を高めることだ。さらに、財務および購買マネージャーからも、ライセンスコストとプラットフォームコストの削減を要求されていた。
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ソリューション

オープンソースによる柔軟性と革新を推進

そんな状況において、ロシュのITマネージャーは、オープンソースという代替案に関心を示していた。同社は、10種類にも及ぶアプリケーションサーバーソリューションの評価を実施し、最終的にRed Hat JBoss® Enterprise Application Platformを導入することに決めた。評価の結果、同ソリューションが信頼性とスケーラビリティに優れており、さらにその強力な機能によってTCO(総所有コスト)も削減できることが証明されたからだ。
「2007年には、多くのIT市場アナリストが、Red Hat JBoss Middlewareがミドルウェア市場のリーダーになると予測していました。当社も、Red Hat JBoss Middlewareが今後市場で最も重要なJava™ アプリケーションサーバーになると考えています。つまり、ソリューションを日々活用し、イノベーションに貢献し、飛躍的に進展させている企業が何社もあるということです」と、ロシュのシニア・ミドルウェアエンジニア セザール・インファンテス氏は述べる。
かつて同社は、他のJavaアプリケーションサーバーソリューションとともに、ベンダーが提供するスタック全体を使用しなければならなかった。こうしたベンダー依存によって、コストが大幅に増加し、柔軟性や革新性が制限されていた。
同社が選んだ新しいプラットフォームのメリットとして、Red Hatと他のベンダーによる異なるテクノロジーの融合が挙げられる。組み合わせて利用することで、ビジネスニーズに応じたインフラストラクチャの柔軟な拡張が可能となるからだ。
「現在のプラットフォームでは、必要なRed Hatテクノロジーを選択して他のベンダーのソリューションと組み合わせることで、さらに多くの機能を利用することができます。テクノロジーとソリューションを組み合わせて、独自のインフラストラクチャを構築できるようになったのです。これは、当社に大きな価値をもたらしてくれます」ロシュのインテグレーション/ミドルウェア、およびアプリケーションサービス部門責任者のトップ、ジャスト・ストール氏は語る。
「真の技術革新は、異なる構成要素を組み合わせることで実現します。その成果を達成するためには、Red Hatのような企業が提供する、柔軟性とオープン性が必要なのです」(ストール氏)。
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成功の要因

アプリケーションを、
迅速にグローバルネットワークへ提供

「現在は、マドリッドからロシュのグローバルネットワークにサービスを提供できるようになっています」とインファンテス氏は述べる。「当社にとっては、アプリケーションを迅速に提供することが何より重要です。そしてRed Hatと協力すれば、それを実現できる。ごく少数の管理者がいれば、マドリッドにいるスタッフだけでヨーロッパと米国全体のすべてのデータセンターを管理できるのです。
Red Hatソリューションの強力な自動化と監視機能によって、インフラストラクチャ全体を管理でき、さらにアプリケーションを市場に投入するまでの時間を短縮することもできました」(同氏)。

 

開発者の導入作業を迅速化

Red Hat Satelliteは、システム管理プラットフォームだ。Red Hat JBoss Operations Networkは、アプリケーションの管理と監視機能を提供する。この2つのソリューションを組み合わせることで、ロシュはインフラストラクチャの導入プロセスを標準化して自動化することで、監視およびバックアップシステムと統合させることができる。開発者は、標準化された方法でソフトウェアをより迅速に導入できるのだ。
結果的に、あらゆる種類のアプリケーション (Web、モバイル、病院、医薬品業界向けなど)の提供や、変更に要する時間が大幅に短縮された。現在は、ミドルウェア管理者1人あたり約100本のアプリケーションを管理しており、インフラストラクチャの導入時間も、数週間単位から数日単位にまで大幅に短縮された。
「現在、当社の開発者の満足度は以前よりはるかに高くなっています」とインファンテス氏は語る。「それは、多くの開発者がオープンソースソリューションによる開発を好むからだけでなく、プラットフォームが安定していることで、より迅速かつ経済的にアプリケーションを完成させられるからです」。

コミュニティが実現するイノベーション

ロシュのITチームは、何千人ものユーザーがオープンソースソフトウェアの改善に時間を費やしている、画期的で革新的なオープンソースコミュニティも高く評価している。「オープンソースコミュニティによって絶えずイノベーションが進んでいます。テストされ、検証され、標準化されると、市場のニーズを満たす明確で具体的な製品ロードマップに則って、商用ソリューションに組み込まれるのです」とインファンテス氏は話す。
「優れたテクニカルサポートに加え、Red Hatはこの成長を遂げている活発なコミュニティもサポートしています。これによって、プラットフォームの改善や問題の解決に必要なソリューションやアーキテクチャーを簡単に見つけることができます」。インファンテス氏は続ける。「幸運にも、当社はテクニカルサポートを頻繁に利用する必要はなかったものの、利用するときは、知識が豊富で能力の高いスタッフに直接相談することができます。以前のJavaソリューションの場合は、いくつかの段階を経てようやく問題を解決できる技術者に辿り着きましたが、Red Hatの場合は、最初から実に満足度の高いサービスを受けることができます」。

コンサルティングがプラットフォームを補強

Red Hatコンサルティングは、プラットフォームの構造を設計するときも、その構造を導入するときも、極めて重要な役割を果たしている。「私たちのニーズを的確に汲み取り、インフラストラクチャに適応していくRed Hatソリューションの能力を高く評価しています。Red Hatのエンタープライズ向けソリューションは、以前から利用しているソリューションとも他のベンダーの新しいソリューションとも効果的に連携します。これにより、革新のための柔軟性と能力が向上するのです」とストール氏は説明する。

規制当局の要件を満たすソリューション

製薬業界は常に進化しており、イノベーションが重要な要因となっている。また、米国食品医薬品局や欧州医薬品庁の積極的な管理によって、厳しく規制されている分野でもある。Red Hatのオープンソースソリューションによってロシュは、安全に関する厳格な義務や要件を維持遵守し、ベンダーロックインを避けながら、急速なイノベーションと成長を実現している。
「Red Hat JBoss Middlewareの採用を決定する前に、市場を調査し、当社のニーズに適したさまざまな選択肢を分析しました。他の企業には、選択肢を入念に検討して、自社のニーズに最適なソリューションを選択することをお勧めします。そして長期的なパートナーとなり、将来的に企業に制約を強いることのないベンダーを選択することも、強くお勧めします」とストール氏は述べる。

さらなるRed Hat ソリューションにも注目

「Red Hatとの協力関係は今後、さらに強くなると考えています。現在、Platform-as-a-Service(PaaS)ソリューションを導入する予定があるからです。当社では今まさに、Red HatのOpenShiftのPoC(=概念実証)に参加している段階で、このソリューションが当社の成長過程において、さらなる柔軟性や融通性を提供できるか、どのようにしてプラットフォームを適合させるか、さらにどのように需要に応じた調整ができるかを評価しているところです。今は私たちにとって実にエキサイティングな時期で、将来が楽しみです。このような最新ソリューションの実装を、心待ちにしています」(ストール氏)。
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