ユーザー事例


 エンジンやトランスミッションをはじめ、幅広い自動車部品を製造する旭鉄工。同社はトヨタ自動車などから数年先までの受注の見込みがあったが、それを実現する生産能力が不足していた。そこで生産現場の改善に着手、レッドハットのビジネスルールエンジンによって機械の稼働状況を可視化し、迅速に改善に繋げる仕組みを構築した。導入後は設備投資額削減をはじめ、大幅な効果を上げている。

旭鉄工株式会社 代表取締役社長 木村 哲也 氏

旭鉄工株式会社
代表取締役社長
木村 哲也

旭鉄工株式会社 経営企画部 次長 ものづくり改革室 室長 黒川 龍二 氏

旭鉄工株式会社
経営企画部 次長 ものづくり改革室 室長
黒川 龍二

背景

問題点を迅速に把握して改善し、
機械の生産能力を高めたい

 トヨタで21年間のキャリアを持つ旭鉄工株式会社 代表取締役社長の木村哲也氏。同氏は、トヨタ在籍中に約3年間、トヨタ生産方式を推進する部署で製造業の改善支援を担っていた。
 「2013年、旭鉄工に入ってまず気づいたのは、約3年先までの受注の見込みがあったものの、そのすべてを作るには工場のスペースが3000㎡ほど足りないということでした。そこで作り方を改善することで、生産能力を高めようと考えました」(木村氏)。
 まず状況の可視化に着手、各機械の生産個数と稼働停止時間を把握することにした。しかし当時は人が機械の生産カウンターを見て紙に転記していたため、確認漏れや記入漏れなどあり、正確な状況が分からなかった。そこで、機械にセンサーを取り付け、稼働データを取得してモニター表示するIoTの仕組みを自社で構築することにした。同社が“サイクルタイムモニタ”と呼ぶものだ。

IoTによる稼働状況の見える化で生産性向上、コストを大幅削減

レッドハット製品を選んだ決め手

外販にはサポートのあるOSSが必須、
信頼できるレッドハットを選択

 しかし当初のサイクルタイムモニタは、時間を管理するアプリケーションがPerlで記述されていた。旭鉄工株式会社 経営企画部 次長兼ものづくり改革室 室長の黒川龍二氏は、当時の課題を次のように説明する。
 「ほとんどがハードコーディングだったため、例えばちょっとした機能の追加にもプログラムを改修する必要があり、時間がかかる状況でした。シンプルな構成で、使いやすいシステムの必要性を痛感していましたが、結果的にその要件に合致したのがレッドハットのアーキテクチャでした」(黒川氏)。
 また木村氏は将来的に、今回構築するIoTの仕組みを外販することも視野に入れており、安心してサポートを任せられるITパートナーを探していた。
 「コストを抑えるための選択としてオープンソースソフトウェア(OSS)がありましたが、サポートのないOSSでは責任を持って外販することはできません。そこで私自身が外部の展示会で直接話を聞いて、信頼できると確信したレッドハットにお願いしようと決めたのです」(木村氏)。

レッドハット製品を導入したメリット

サイクルタイムモニタを刷新、
約3億円の設備投資削減を実現

 今回のシステムでは、OSにRed Hat Enterprise Linux 7、ミドルウェアにRed Hat JBoss Enterprise Application Platformを採用し、さらにルールエンジンとしてRed Hat JBoss BRMSを導入した。プロジェクトは2016年2月に開始、同年7月にサービスインを迎えた。
 「JBoss BRMSでは、さまざまなルールをExcelベースの“デシジョンテーブル(意思決定表)”にまとめて記述し、変更があった時にはこのExcelを修正するだけで済みます。変更のたびにプログラムを修正する必要もありません」(黒川氏)。
 またRed Hat JBoss BRMSには、大量の情報間の関連性をリアルタイムに検知するComplex Event Processing(CEP)という機能が搭載されているが、旭鉄工はこのCEPを採用した国内初のユーザー企業でもある。
 「今回の仕組みを構築したことで、約3億円の設備投資を削減することができました。しかしこれは単にITだけで得た成果ではありません。サイクルタイムモニタを見て、従業員自身が解決策を考える文化が根付いたこと、これが何よりも重要でした。私もよく直接現場に足を運び、従業員と直接話し、一緒になって知恵を出しました。こうした日々の積み重ねがあってこそ得られた効果です」(木村氏)。

今後の展望/レッドハットへの期待

遠隔コンサルティングの提供も予定、
その際のさらなるサポートも期待

 今回の取り組みにより、旭鉄工は優れたRed Hatソリューションの活用で成果を上げた企業に贈られる「2016 Red Hat Innovation Award APAC」を受賞した。
 「私たちは、決してITのプロというわけではありません。今回、レッドハットはDevOpsという開発手法で進めてくれましたが、これはとても有効でした。今の時点ではこれがやりたいと伝えて、それを作ってもらい、少しイメージが違えばすぐ修正してもらえるので、安心感、納得感がありました。2016年10月には今回の仕組みをSaaSとして販売開始しましたが、将来的には遠隔コンサルティングサービスの提供も考えています。その際にもレッドハットには、ぜひ相談にのってもらいたいと思っています」(木村氏)。


関連リンク

≫ 旭鉄工株式会社
≫ [トップインタビュー]旭鉄工 × レッドハット エグゼクティブ対談
≫ Red Hat Enterprise Linux
≫ Red Hat JBoss Enterprise Application Platform
≫ Red Hat JBoss BRMS
≫ ビジネスにおけるIoTの意味とは