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後編では、「アジャイル・インテグレーション」への取り組みかたにフォーカスしていきたいと思います。

 

前編で述べた通り、デジタル変革に対応するこれからのシステムインテグレーションは、スピード重視、顧客体験中心、エコシステム重視といった要素を取り入れる必要があり、アジャイル・インテグレーションを組み入れたIT基盤は、それらに対応する機能を提供する必要があります。

アジャイル・インテグレーションで実現できる機能とは、アジリティリソースの有効活用ビジネス継続性です。

アジリティ:変化の激しいビジネス要求に俊敏に対応するため、システム間の接続を柔軟に行うことができる。(=俊敏性の提供)

リソースの有効活用:内部・外部のシステム機能を適切な粒度で整理し再利用性を高めることでができる。(=柔軟性の提供)

ビジネス継続性:接続の特性に応じて柔軟に分散管理でき、拡張性や耐障害性を確保するビジネスの継続性を提供できる。(=堅牢性の提供)

 

これらを実現する主な技術としては、API管理、マイクロサービス、コンテナが挙げられます。(下図参照)

アジャイル・インテグレーション アーキテクチャ

 

API管理の考え方においては、APIによるインタフェースを中心としてサービスの設計、開発、運用を行うことが最重要視され、このルールを徹底することで、サービスの柔軟な接続性が確保され、APIの再利用性を高めることができます。API管理の主な機能としては、ゲートウェイによるトラフィック管理機能、アクセス制御、課金、分析などのAPI管理機能、開発者向けのドキュメント管理機能などがあります。

マイクロサービスは、SOAの考え方を発展させた、よりビジネスの変化に対応することに重点を置いた設計手法です。

したがって、従来のSOAよりもシンプルで粒度が小さいサービスを指向します。マイクロサービスのサービスインタフェースがAPIであり、RESTといった直感的で再利用しやすい技術を使うことが多いです。

マイクロサービスはその特性上、小さい機能が大量に分散されて配置されるため、1つのサービスに1つのサーバーを割り当てていると、無駄なコンピュータリソースを消費してしまいます。

そこで、少ないリソースでも高速に実行できるコンテナ技術が利用されます。コンテナ技術は、OSの仮想化技術を利用した論理的に区画を作る機能も持っており、1つのサーバー上であたかも複数のサーバーが動作しているように見せることができます。

 

アジャイル・インテグレーションが適用されるシステム領域

ガートナーが提唱した、安全性重視の「モード1」とスピード重視の「モード2」という、Bi-modal ITの考え方や、記録中心のシステムである「SoR (Systems of Record)」と人との繋がり中心のシステムである「SoE (Systems of Engagement)」という分類の仕方が最近定着してきました。

アジャイル・インテグレーションは、これらのうち「モード2」および「SoE」の領域に向いている考え方になります。(下図参照)

顧客接点の多いサービスをスピード感を持って提供していくためには、俊敏性のあるシステム連携が必須というわけです。

アジャイル・インテグレーションの適用領域

 

アジャイル・インテグレーションによるデジタル変革

ここまでお伝えしてきたように、ビジネスを取り巻く環境がよりダイナミックに、かつ変化のスピードが早くなってきたことに対して、企業は新しいサービスやビジネスモデルを提供することで競争力を高めていく必要があります。そのためには、アジャイル・インテグレーションが持つ「俊敏」で「柔軟」かつ「堅牢」な要素をIT基盤に用意しなければいけません。

 

世界最大手のタイヤメーカーであるブリヂストンは、いち早く“モノ売り”から“コト売り”に戦略変換した会社として有名です。

タイヤというコモディティ化された製品を単体で売るだけではなく、タイヤのリトレッド(貼り替え再生)技術にメンテナンスサービスを組み合わせたソリューションビジネスへと変革を遂げました。

このビジネスモデルは、顧客のタイヤメンテナンスを一括して請け負い、コスト削減とともに環境保護のメリットも顧客価値として提供するものです。

常に顧客のタイヤの使用状況を把握し、最適なアフターケアを提供するために、IoTを用いてタイヤのデータをリアルタイムで監視し、メンテナンスが必要なタイミングでアラートを出すといった高度なシステム連携が行われています。まさにアジャイル・インテグレーションの考え方を取り入れた好例と言えます。

 

以上のように、アジャイル・インテグレーションの考え方では、従来のコアビジネスをさらに強化し、かつ新しいビジネスモデルで顧客への価値提案を高めるために、ビジネスをサービスとして捉え、サービスとITを柔軟に連携させるためのAPIを中心としたIT戦略を取り入れることを重視します。

継続的に再利用可能なAPIを設計するためには、アプリケーションのマイクロサービス化が必要となり、その実行環境としてコンテナ技術が特に適しています。

そして、それらのソフトウェア資産を継続的に改善し、スピーディに製品を提供し続ける体制として、DevOpsを取り入れることも必要です。(下図参照)

アジャイル・インテグレーションのモチベーション

 

次回からは、デジタル変革におけるアジャイル・インテグレーションの適用パターンを紹介しながら、アジャイル・インテグレーションを実現するための技術である

・API管理

・マイクロサービス

・コンテナ

などを中心に解説していきたいと思います。

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