トップインタビュー


株式会社アクティス×レッドハット株式会社×株式会社インターネットイニシアティブ
 
 企業におけるクラウドの利用が急速に進んでいる。その一方、自社でIT資産を抱え、自前で運用管理を担うことを負担に感じ、プライベートクラウドの導入や拡大をためらう企業も少なくない。そうした企業の悩みを解決するためにレッドハットでは、パートナー企業である株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)、株式会社アクティスの2社と共に今回“Private Cloud as a Service”を具現化する新たなソリューションモデルを実現。今回の鼎談では、この新協業モデルに向けた3社の抱負や今後の展望についてお届けする。
 

“Private Cloud as a Service”は
クラウド時代の新たな課題を解決するサービスモデル

プライベートクラウドの自社運用は限界に来ている

望月弘一(以下:望月) 昨今、企業におけるクラウドの活用のニーズが極めて高い状況にあります。MM総研の調査レポート(2016年12月時点)によれば、国内のクラウド市場は、2020年まで年平均成長率が約27%で伸びると予測されており、今後さらに大きな成長が期待できる市場だと言えます。中でも企業におけるプライベートクラウドのニーズは今後ますます高まっていくと考えています。しかしその一方、お客様がクラウド時代特有の新たな課題に直面していることも事実です。それは、運用負荷の増大です。自社でIT資産を抱え、運用管理を行なうのをストレスに感じている企業も少なくありません。そういったお客様の課題を解決するために今回、弊社のパートナー企業であるIIJ様、アクティス様との協業で実現したのが、プライベートクラウド環境をサービスとしてご提供する“Private Cloud as a Service”モデルです。

 レッドハットでは2015年7月に「認定クラウド&サービスプロバイダープログラム(Certified Cloud & Service Provider Program、以下CCSP)という新たなパートナープログラムを導入しました。これは、2009年から提供してきた認定クラウドプロバイダープログラム(Certified Cloud Provider Program、以下CCP)をさらに拡大したものです。

 かつてのCCPは、パブリッククラウド上でRed Hat Enterprise Linux(RHEL)をオンデマンドや従量課金で利用したいというユーザー企業を支援するパートナー企業様が対象でした。対してCCSPは、各種レッドハット製品をクラウドサービスとして提供していくことを可能にしたもので、プライベートクラウド環境の基盤からネットワーク、セキュリティ、運用管理など、各領域に強みを持ったパートナー企業様を対象としています。

 しかし、これらの構成要素を1社のみですべて提供できるケースは限られています。そこで今回、各パートナー企業様の専門分野を持ち寄ることで、お客様に “プライベートクラウド環境をサービスとしてご提供できる” 新たな仕組みを実現しました。その第一弾となるのが、IIJ様のクラウドサービス上に、アクティス様のOpenShiftを利用したコンテナサービスを載せてご提供するという協業モデルです。まさにこれがPrivate Cloud as a Serviceを具現化した新しいビジネスモデルで、プライベートクラウドの導入を検討しているものの、自前でサーバーなどのIT資産は持たない “ホステッド” の形態を望んでいるお客様企業のニーズにお応えするものとなります。

*出展:2016年12月13日 MM総研調査レポート
https://www.m2ri.jp/news/detail.html?id=212

立久井正和氏(以下:立久井) 望月社長のご指摘どおり、クラウドのニーズはますます高まってきています。一方で、お客様の企業では依然としてオンプレミス環境が残っています。

 一部のシステムではプライベートクラウドとパブリッククラウドの両方が、さらに場合によっては複数のサービスが利用されているというケースもあります。しかもクラウドは、基本的にお客様自身でWebの管理画面からリソースを追加したり設定を変更したりといった作業を行わなければなりません。マルチクラウド環境の場合には、複数のサービスに対して個別に対応していかなければならない。管理画面の仕様や使い勝手、セキュリティを担保する方法はすべて異なり、手間も時間もかかります。オンプレミス環境と複数のクラウド環境をお客様自身でトータルに運用していくことは、もう限界に来ていると思うのです。

 そこで、IT資産の維持や運用管理といった作業は外部のパートナー企業に任せ、本来のビジネスに集中しようということになる。今回のモデルは、まさにそうしたお客様のニーズにお応えできる協業モデルだと考えています。

堀口浩之氏(以下:堀口) 確かにお客様企業においては、可能な限りクラウドに移行したいという思いはあるものの、全てのクラウドサービスをトータルで運用管理できるだけのエンジニアを確保するのは容易ではありません。立久井さんのおっしゃるように、クラウド環境ごとに運用管理を行い、セキュリティ対策を考え、さらには安全な通信ネットワークを担保する等の課題に対応するのは困難です。

 そういったお客様の課題にお応えしたいと思いつつも、当社だけでできることには限界があると常々感じていました。しかし今回の協業モデルにより、新たな可能性が生まれました。IIJ様のクラウドサービス上に、我々のOpenShiftを使ったコンテナサービスを載せることで、Linuxコンテナを安心安全、かつオンプレミス/クラウドに関係なく自由自在にご利用いただけるようになったのです。パートナー同士の協業だからこそ実現できる、新たな価値のご提供だと考えています。

堀口 浩之氏

今回の協業モデルは、我々にとっても大きな一歩です。今後も革新的なビジネスモデルを構築していきたいと思います

株式会社アクティス
執行役員 ソリューション事業部長
堀口 浩之

 

IIJの次世代IaaS上でアクティスがコンテナ基盤サービスを提供

望月 まさに今、堀口様がおっしゃったように、今回のPrivate Cloud as a Serviceモデルは、ITベンダー単独では解決が難しいお客様のクラウドシフトへの課題を、レッドハットを含むCCSPパートナー様がタッグを組み、各専門分野のノウハウを持ち寄ることで全方位的に解決するというエコシステムです。いわばクラウド時代特有のお客様の悩みを解決する、新たなフレームワークとして誕生したとも言えるでしょう。

 ここで、今回の協業モデルにご尽力いただいた2社様について、簡単にご紹介いただきたいと思います。まずは立久井様からお願いいたします。

立久井 IIJは1992年の設立以来、社名のとおりインターネット技術分野を牽引していくことをミッションとして挑戦し続けている企業です。当初のインターネット接続サービスに加えて、今ではネットワークセキュリティ、ネットワークシステムの構築/運用保守、クラウドサービスというように幅広い領域でサービスを展開しています。我々の特徴をクラウド中心の文脈で言い換えるなら、単にクラウドサービスの提供にとどまらず、クラウドを使うためのネットワークサービスやセキュリティサービス、さらには運用監視サービスもラインナップしているということです。

 そして今回の協業モデルで提供しているサービスが、私たちが次世代IaaSと位置付けている「IIJ GIOインフラストラクチャーP2(以下IIJ GIO P2)」で、パブリッククラウドとプライベートクラウドという2つのPを自由自在に組み合わせてご利用いただけるというものです。現在お客様企業の中ではプライベートクラウドへのシフトが進んでいますが、一方で複数のパブリッククラウドを利用されているという状況もある。そうした全てのクラウド環境を統合して利用できるようにしたのが、IIJ GIO P2です。

望月 IIJ様は、国内の老舗インターネットサービスプロバイダーとしてセキュリティや信頼性に定評があり、現在では高品質なクラウドサービスを提供されています。レッドハットとも強い信頼関係のもと長年の協業実績があり、今回の協業モデルは、IIJ様にとっても新たなビジネスモデルの1つになるのではと期待しています。

 それでは次に、アクティス様についてご紹介いただけますでしょうか。

堀口 私たちアクティスは1989年に設立され、通信ソフトウェアやファームウェア、各種アプリケーション開発、ネットワークシステムの構築/運用/保守など、幅広く事業を展開してきました。これまでは大手SIer様のビジネスをご支援するモデルが大半だったのですが、ここ数年はユーザー企業様との直接取引が増えており、クラウドに踏み込んでいくことができないお客様が予想以上に多いことを肌で感じていました。

 今回IIJ様のご協力を得て実現したOpenShiftを利用したコンテナサービスは、いわば“持たないプライベートクラウドサービス”で、お客様が手軽にコンテナ技術を活用してDevOpsを実現できるよう支援するプラットフォームです。まずはアプリケーションやシステムの移行でシミュレーションが行えるように、アセスメントと1カ月間のOpenShift環境テナント利用をセットにした「おまかせコンテナPoCサービス」を6月から提供開始予定ですので、ぜひこの機会にお気軽にお試しいただきたいと思っています。

望月 アクティス様も、レッドハットとはコンサルティング業務を通じて長年の協業実績を有しています。今回ご提供されるサービスは、まさに“IaaSと実際のクラウドサービスとの間隙を埋める”、お客様のニーズにダイレクトにお応えするものですね。
 IIJ様もアクティス様も、共にこれまでのビジネスを通じて、さまざまな顧客ニーズにいち早く、かつきめ細かな対応をされてきた素晴しい実績をお持ちです。それらを踏まえて実現した今回の協業モデルは、国内のお客様企業にとって信頼のおける強力なフレームワークだと言えるでしょう。

立久井 正和 氏

ホステッドプライベートクラウドサービスの先駆者として、これからも積極的に先進ビジネスを拡大していきたいですね

株式会社インターネットイニシアティブ
執行役員 クラウド本部長
立久井 正和

 

複数のパートナー企業が“競合”するのではなく
“協業”することで新たな価値を提供していく

望月 現在レッドハットの国内パートナー企業様は800社以上にのぼり、そのうちCCSPとしては約50数社様がいらっしゃいます。インフラ系が得意な企業、アプリケーション開発が得意な企業、あるいは運用が得意な企業というようにそれぞれが強みをお持ちで、パートナー企業様との協業は、今後もさらに推進していく予定です。レッドハットでは、お客様のご要望に沿えるよう、こうしたパートナー様をCCSPという制度の上でマッチングさせていただく、あるいは我々が想像力を巡らせて、こんな組み合わせが実現できればこんな新たな価値が創造できるというように、さらなるエコシステムを構築していきたいと考えています。今回はIIJ様、アクティス様の2社による協業モデルですが、必ずしも2社間の協業である必要はありません。必要に応じて3社、あるいは4社によるタッグでもかまわないのです。あくまでお客様の課題ありきで、それを解決するためにどのようなエコシステムを構築すべきなのか。それを主導していくのが、Private Cloud as a Serviceを実現する上でのレッドハットの役割だと認識しています。

立久井 私は、パートナーシップとは、まさにそういうものだと思います。レッドハットとCCSP各社は1対50の関係ですが、そこにレッドハットを中心とするエコシステムが生まれることで、50社が各社特有の強みを組み合わせて、今までになかった新たな価値をお客様に提供することができる。仮に、すべてのCCSPが各社ごとにフルスタックのクラウドサービスを提供していたなら、お互いに単なる“競合”でしかありませんが、特定の専門領域に強みを持ったパートナー企業同士が複数連携すれば、それはまさに強力な“協業”で、各々が各々を補完し合い、共にビジネスを拡大していくことができます。パートナー企業が互いに“競合”ではなく“協業”関係を築くことができる制度として仕立て上げられたのが、今回のレッドハットのプログラムのキーポイントだと考えています。

堀口 我々が今回提供を開始する「おまかせコンテナPoCサービス」も、当社単独では実現できなかったものです。信頼できるIIJ GIO P2を基盤として、レッドハットとIIJ様の技術的なサポートをいただき初めて提供可能となりました。まさに、今回のレッドハットのプログラムがあったからこそ「やってみたい」と思ったのです。

望月 弘一

今後もパートナー企業様をつなぐ懸け橋として、強力なエコシステムの構築を推し進めます

レッドハット株式会社
代表取締役社長
望月 弘一

 

コンテナ、DevOpsの潮流を背景にCCSPの協業モデルはさらに拡大

望月 今後、企業ITの世界では、コンテナの活用やDevOpsの採用がさらに広がっていくでしょう。クラウドシフトの傾向もさらに加速していくと予想されます。しかし何度も言うように、お客様自身が自社で全てのクラウド環境を構築し、運用していくということは非常にハードルが高い。そこで私たちはこれらをPrivate Cloud as a Serviceとして提供することで、お客様のコンテナ活用やDevOps採用のハードルを下げていきたいと考えています。
 また我々は、今回の新協業モデルのように、ある意味マッチメーカーとしての機能をさらに強化していきたいと考えていますし、柔軟性のあるさまざまな協業形態が生まれてくるのではないかと期待しています。

立久井 私たちにとって今回のアクティス様との協業は、今後の新たなビジネスモデルの好例となるものです。これからもホステッドプライベートクラウドサービスの先駆者として、積極的にビジネスを拡大していきたいと思っています。またCCSP同士のパートナーシップに限定することなく、全てのレッドハットのパートナー様と連携することで新たなサービス領域を開拓していきたいですね。そういった意味では、パートナービジネスの強化にもさらに力を入れていきたいと考えています。

堀口 今回IIJ様との協業でコンテナサービスを提供開始できたことは、当社にとって新たな、そして大きな一歩となりました。これを契機に、今後もさらに先進的なビジネスモデルを構築し、展開していくことで、我々の先進性を訴求していきたいと思います。

 我々自身、今回作り上げたプラットフォームをフル活用して、今後は特定の業種向けに特化したサービスや、お客様の業務の運用まで支援できるような仕組みも作っていきたいと考えています。

望月 心強いお言葉をありがとうございます。レッドハットは、お客様、開発者の皆様、パートナー企業様の懸け橋になることを会社のミッションとして掲げています。今後1〜2年の間での注力分野として、クラウドシフト、アプリケーションの高度化、開発/運用の効率化を挙げていますが、今回のPrivate Cloud as a Service は、この3つの分野を全て網羅する、実に重要なモデルです。これを機に、さらに皆さんと共にビジネスの拡大を訴求できるよう、協力体制を強化していきたいと思います。

 立久井様、堀口様、本日はどうもありがとうございました。

エグゼクティブ鼎談
 


関連リンク

株式会社インターネットイニシアティブ
株式会社アクティス
レッドハットプライベートクラウド