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 2016年8月5日、レッドハットはコンテナにおける同社の戦略とコンテナ関連の新製品を発表した。OpenShiftの位置付けをPaaSプラットフォームからコンテナプラットフォームへとシフトするとともに、アプリケーションやストレージなど各種製品をコンテナと関連づけた。これにより、オンプレミスから仮想環境、プライベートクラウド、パブリッククラウドまでを一貫してサポートする体制が整ったといえる。

岡下浩明

レッドハット
プロダクト・ソリューション本部
本部長
岡下 浩明

山田義和

レッドハット
サービス事業統括本部
DevOpsリード
シニアアーキテクト
山田 義和

中澤陽彦

レッドハット
ロダクト・ソリューション本部
ミドルウェア
シニアビジネスデベロップメントマネージャー
中澤 陽彦

コンテナの魅力、それはアプリケーションのデプロイと運用に統一手法を提供すること

 OpenShiftは、製品が登場した当時はPaaS(Platform as a Service)のプラットフォームとして位置づけられていた。しかし、2015年に発表されたOpenShift Enterprise 3は、DockerとKubernetesをベースとして作り変えられ、「Dockerを知らなくてもDockerを使える」製品とされた。そして今回は、OpenShiftを中心とするコンテナプラットフォームの製品と戦略が発表された。
 記者発表の冒頭、レッドハット プロダクト・ソリューション本部 本部長の岡下浩明は「コンテナは、デプロイと運用を再発明」という言葉を掲げた。
 「JavaEEがエンタープライズシステムの様相を大きく変えたように、仮想化技術が企業のデータセンターの仮想化を促進したように、コンテナ技術は企業アプリケーションのデプロイと運用に統一手法を提供し、シンプル化する。これは企業システムの開発と運用のあり方に大きな変化をもたらすものだ」。最近注目されているコンテナ技術とは、アプリケーションと必要なリソースを標準的なフォーマットにパッケージ化し、それぞれのアプリケーションを独立させたプロセス空間で動作させるものだ。開発者はさまざまなアプリケーションをコンテナフォーマットにアーカイブし、コンテナの実行環境を提供するホストOSにデプロイするだけで簡単に動かすことができる。従来と異なる最大の利点は、システム管理者がコンテナ内のアプリケーションの言語や動作環境を理解していなくとも、コンテナとしてパッケージされたアプリケーションを統一的な手法で運用管理できる点だ。さらにコンテナアプリケーションは、デファクトスタンダードとしてDockerフォーマットの採用が主流になってきている。現在、Dockerフォーマットのコンテナアプリは、物理・仮想・クラウド環境で同じように動くポータビリティ性があることもその特徴だ。最近ではRed Hat JBoss Middleware各製品をはじめ、日立製作所の「Justware」、クオリカの「ATOMS QUBE」などの製品やサービスもコンテナ化されている。
 またコンテナ利用の進化形として、岡下はGoogleの例を紹介。Googleでは、毎週2億個という、とても人間の作業では管理できない量のコンテナアプリがデプロイされているという。そこで重要になってくるのが、その自動運用だ。コンテナプラットフォームは、デプロイされたコンテナアプリを自動的にクラスタ環境に割り当て、起動させることができる。また、障害時の自動復旧や高負荷時のスケールアウトなど、さまざまな運用オペレーションを自動化する。このような機能をコンテナオーケストレーションという。このコンテナオーケストレーションの仕組みを提供しているのが、Googleで培われたコンテナ管理のノウハウを基にGoogleとレッドハットが中心となって開発を進めているKubernetesプロジェクトである。レッドハットのOpenShiftは、このKubernetesが提供するコンテナオーケストレーションの環境下で、デファクトスタンダードのコンテナフォーマットであるDockerを自動的に運用させることができる、まさに企業システムのコンテナ化を促進するプラットフォームなのである。

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リブランドから新製品、ワークショップまで、全面的にコンテナを進める

 新発表の内容としてはまず、製品名を「OpenShift Enterprise by Red Hat」から「Red Hat OpenShift Container Platform」とリブランドし、コンテナプラットフォームとしての位置付けを明確にした。9月にはマイナーバージョンアップしたOpenShift Container Platform 3.3がリリース予定だ。
 さらに、用途を「開発者(個人利用)」「開発/テスト」「プロダクション」「データセンター」の4フェーズに分けた。そして、開発者として個人利用を目的とした「OpenShift Container Local」(無償)、開発/テストとしてチーム内で1年間安価で利用できる「OpenShift Container Lab」の2製品を新しく発表。なお、プロダクションにはOpenShift Container Platformが、データセンターにはRed Hat Cloud Suiteが対応する。
 2つめの発表は、コンテナの脆弱性などをホストからスキャンする技術だ。スキャナとしては、従来からあるOpenSCAPと、新しく協業したBlack Duckの2つが対応する。
 最後に、企業のアジャイル開発導入を支援する「DevOpsディスカバリーワークショップ」と「DevOpsコンサルティングサービス」の国内提供開始も発表。DevOps専任としてレッドハット サービス事業統括本部 DevOpsリード シニアアーキテクトの山田義和が就任、各製品コンサルタントも含め対応するという。

 1年前のOpenShift Enterprise 3発表の時点では、エンタープライズでコンテナをどう使うかまだ明確ではなかった。今回の発表によって、レッドハットの製品群や事業戦略とコンテナとの結びつきが明らかになってきたと言えるだろう。


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