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レッドハット株式会社
DevOpsリード シニアアーキテクト
山田 義和

 近年、ビジネスの確立した領域やモデルに対して、ITを駆使した新たな価値の創造により破壊的イノベーションをもたらす“Digital Disruption(デジタル・ディスラプション)”と呼ばれる現象が発生しています。そこでは、市場における支配的企業ですら業際的なイノベーションの具現者と競合関係にあります。これは、移動や宿泊、あるいはコミュニケーションなど“体験”にITを活用して新たな価値を創造したスタートアップ企業の事例や、2010年以降、S&P 500企業の平均寿命が20年を下回る傾向にあることからも明らかです。今後、AI、IoTといった文脈で語られる新たなITが社会やビジネスやライフスタイルに浸透することにより、Digital Disruptionはさらに加速されるでしょう。
 この状況をチャンスに変えるには、潜在的または顕在化した顧客が求める価値や体験を継続的に提供する必要があります。成功した企業には、世の中の変化に対応する驚異的なスピードで、顧客の行動をフィードバックとして機敏に反映させることで顧客へ価値や体験を提供しているという共通点があります。つまり、昨今におけるビジネスの成長を牽引するITとは、スピードとフィードバックに対するアジリティ(機敏さ)を実現するITであるということです。そして、ビジネスの成功に向けて、組織とIT運営に大してスピードとフィードバックによる継続的改善を導入・実現するのがDevOpsです。
 

スピードとフィードバックによる顧客の体験や価値に対する訴求

 DevOpsはその根本にAgileがありますが、いくつかの点でAgileをより進化させたものです。具体的には、リードタイム全体の短縮にLeanの考え方を導入した点、Biz/Dev/Opsの組織全体を対象としている点、そして、顧客価値の探索を重視している点です。
 リードタイム全体(アイデア〜リリース)の短縮や顧客の行動変化を起点としたフィードバックサイクルの効果・効率の向上のためには、それぞれ責務や目標が異なる組織(事業部門、開発部門、運用部門など)を横断的に連携させる必要があり、Lean開発手法と Agile開発手法の組織横断的な導入はこのための有効なアプローチだと言えます。
 DevOpsの実践には、システムの特性によって向き不向きがあります。たとえばECサイトでは、商品の検索システム、カートシステム、決済システムがあり、カートシステムと決済システムは、短期間で要求が大きく変わることはありません。 一方で、検索システムはECサイトの要であり、顧客に与える体験や価値が売上を左右します。このため、顧客が購入に至るストーリーにおける動機と行動の因果関係に関する仮説と検証のサイクルを効果的・効率的に反映することで、ビジネス機会の拡大が可能になります。つまり、アイデア(仮説)をリリースし顧客行動の変化から分析・学習(検証)し、それをまたフィードバック(新たな仮説)するサイクルを迅速に回すことで、顧客が真に求める価値や体験を提供することができるようになります。フィードバックによる継続的改善によって、より直接的にビジネスに貢献するという特性を持つ検索システムは、DevOpsを実践するべきシステムと言えます。
 

レッドハットのDevOpsとは

 DevOpsは、Infrastructure as Code、Site Reliability Engineering、Linuxコンテナ技術、クラウド技術、API化、マイクロサービス等のプラクティスや新たなテクノロジーを積極的に活用することで Agile/Leanを加速させます。レッドハットは、DevOpsの中核となるテクノロジースタックとして、Linuxコンテナの基盤であるOpenShift、オンプレミスでIaaSを実現するOpenStack、IT Automationを実現するAnsible等をオープンハイブリッドクラウドのビジョンと共に提供しており、DevOpsの実践を強力に支えます。
 
DevOps実践におけるお客様の課題

レッドハットのDevOps実践支援とは?

 レッドハットは、上記のテクノロジーに加えて、DevOpsディスカバリーワークショップ、コンサルティングの3つを提供することで、お客様のDevOps実践を支援します。
 ワークショップは、Biz/Dev/Opsを横断して参加いただき、 DevOpsの目的や主要成功要因について共通理解を持っていただきます。また、アイデア創出からリリースまでのValue Stream Mappingを実施し「ムリ」「ムラ」「ムダ」の見える化を行います。続いて、Dev/Opsの方々を対象にDevOps主要成功要因「Agile/Leanの実践」「テスト戦略」「インフラ戦略」「コンテナ戦略」「CI/CDの実践」「アーキテクチャ戦略」「メトリクス戦略」の詳細な解説を行い、お客様の具体的なシステムを対象に参加者と共に議論して個々の主要成功要因に関する課題整理を行います。これらの課題や改善策と、改善のためのマイルストーンをレポートしてご提示いたします。
 コンサルティングサービスでは、ワークショップで得られた課題と改善策に対して、具体的なご支援を提供させていただきます。
 レッドハットは、お客様にDevOps導入までのプロセスを正しく理解していただくところから始め、具体的な課題の整理と実践方法の提案から最新技術の提供まで、一貫した支援体制でお客様自身がイノベーションを起こすためのお手伝いをいたします。
 お客様自身によるイノベーションには、ビジネスを牽引するITの実現と、ビジネスの成功に向けて参加・関与するIT組織の2つが必要不可欠です。IT組織の問題は難しい問題ですが、DevOpsの実践を通じて効果と成功を積み重ねることが、さまざまな問題を自ら打開する力となり、ひいては強い組織と文化の礎となるでしょう。
 また、DevOpsに着手する以前にさまざまな問題があるかもしれません。しかし、始める前に歩みを止め考えるのではなく、走りながら問題に対処し改善する、これこそDevOpsの本質です。
 

関連リンク

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