株式会社アドックインターナショナル様事例

通信インフラのスペシャリスト集団
インフラがクラウドへの転換を遂げるなか
将来不可欠な技術としてOpenStackに着目
OpenStack専門家を全社を挙げて育成し
顧客の期待に応える会社を目指す

 日本製局用交換機の海外展開から事業をスタートしたアドックインターナショナル。通信網のデジタル化に伴い、ネットワーク事業にも乗りだし、早々とNOC(ネットワークオペレーションセンター)を立ち上げるなど、今では通信業界に強いインフラのスペシャリスト集団だ。

 昨今、インフラがクラウドへ移行するなか、OpenStackは将来不可欠な技術になるとアドックインターナショナルでは見ている。2015年6月には社内第1号となるRed Hat OpenStack認定(RHCSA -Red Hat OpenStack-)資格取得者を出し、客先でOpenStackへの移行案件に取り組むなどしている。今では社員向けにOpenStack講習会を実施するなど、全社を挙げてOpenStackエンジニアの育成に取り組み、2016年夏にはRed Hat OpenStack認定取得者は20名を達成した。

株式会社アドックインターナショナルイメージ

背景
• 従来の基盤からクラウドへの転換が進むなか、エンジニアが持つスキルも一新し、追随していかなくてはならない
• OpenStackの問い合わせが増えつつあり、いち早くお客様から信頼されるエンジニアを増やす必要があった
アドックインターナショナルの社員育成への取り組み
• インフラ技術に経験豊富なメンバーが先陣としてRedHat OpenStackのトレーニングを受講し、認定を取得
• Red Hat OpenStack認定資格を取得したメンバーが講師となり社員向けにOpenStack講習会を実施
今後の展望
• OpenStackは今後重要な技術。いち早く習得すべく、全社を挙げてOpenStackエンジニアの開拓を進 めている
• 特に若手にはともに歩める技術としてOpenStack習得を推奨
  • 八木 澤幸紀氏 株式会社アドックインターナショナル
    マーケティング推進グループ 兼
    クラウドエンジニアリンググループ
    マネージャ
    八木 澤幸紀氏
  • 藤田 邦彦氏 株式会社アドックインターナショナル
    クラウドエンジニアリンググループ
    藤田 邦彦氏
  • 阪本 良平氏 株式会社アドックインターナショナル
    クラウドエンジニアリンググループ
    阪本 良平氏

インフラがクラウドへ移行するなか、
今後OpenStackは欠かせない技術となると確信。
トップダウンで全社を挙げて
OpenStackエンジニアの育成に取り組む。

背 景

通信インフラのスペシャリスト集団
時代の流れとともにエンジニアスキルを追随させる必要性を重視

 アドックインターナショナルは1990年創業。発展途上国を中心に、通信インフラがまだない地域に電話の交換局を導入するなど、日本製局用交換機を海外展開することから事業をスタートした。次第に電話の交換網はアナログからデジタルへと転換し、それに伴い同社はネットワーク事業にも乗り出す。ネットワークの構築だけではなく保守運用も手がけ、NOC(ネットワーク・オペレーション・センター)の立ち上げも早々と行ってきた。

 「昨今、ネットワークやサーバー環境はがらっと変わってきています。考え方や視点を変えていかなくてはなりません」と話すのは同社マーケティング推進グループ 兼 クラウドエンジニアリンググループ マネージャ 八木澤幸紀氏。従来の基盤からクラウドへと環境が変化するなか、エンジニアに求められるスキルも変化していると肌で感じ取っている。

 八木澤氏は「なかでもOpenStackは今後必要な技術として欠かせないものとなると確信しています」と話す。同氏はマーケティングの責任者を務めつつ、OpenStackの最新トレンドや技術を社内に伝授する役割も担っている。実際、Red Hat OpenStack認定資格(RHCSA −Red Hat OpenStck−)取得では社内で1人目にあたり、名実ともにOpenStack伝道の第一人者となっている。

 時流に沿い、アドックインターナショナルは事業や社員のスキルも積極的に追随させてきた。エンジニアのスキル開拓への意欲は並々ならぬ熱意を感じる。それもそのはず。八木澤氏は「実は会社としてはIP通信網への転換時に『始動が遅れた』という認識があるのです」と明かす。高い技術力への自負が変化に追従する時の足かせとなったという苦い過去が、痛恨の記憶として刻まれているという。

 その反省もあり、社内ではトップダウンで「最新技術に乗り遅れないように、エンジニアはスキルを高めていくこと」という教訓が染み渡っている。

OpenStackへの取り組み

今やらなければ、いつやるのか
案件を契機にRed Hat OpenStack認定取得
沖縄オープンラボへの参画も

 アドックインターナショナルがビジネスでOpenStackに関わるようになったのは2015年7月から。クラウドエンジニアリンググループ 藤田邦彦氏は、「私はプロジェクト管理をしつつ営業もする立場でした。OpenStackは新しく重要な技術なので、動向を注視していたところ、2015年にOpenStackが絡むお仕事をいただくことになりました」と経緯を話す。

 案件は従来の基盤からOpenStackへの大規模な移行で、システムの要件検討や技術検証などを行うものだった。しかし当時の藤田氏のチームではOpenStackの専門家となれる人材を選任するとき、自信をもって押し出せる適任者がいない状態だった。そこで八木澤氏が「今この案件を逃すわけにはいかない。今やらなかったら、いつやるのか」と奮起し、Red Hat OpenStackのトレーニングを受講してから、認定資格を取得して現場に乗り込んだ。しかも満点合格を果たしてである。

 八木澤氏はこう話す。「案件の話がある前からOpenStackには注目しており、技術検証や社内勉強会を実施していました。しかし案件をいただいたときはまだ業務経験はなく。どうしたらお客様の期待に応えられるだろうかと考え、資格を取得しました。2015年の段階だとまだ資格取得者はめずらしく『えっ、もう資格取得を?すごいですね!』と驚かれました」

 同社では八木澤氏の努力が評価され、藤田氏、そしてクラウドエンジニアリンググループ 阪本良平氏などが続々とRHCSA −Red Hat OpenStack−認定を取得した。阪本氏は認定取得後、2015年10月から半年ほど沖縄オープンラボへ研究員として出向した。沖縄オープンラボは沖縄県やIT企業が出資した団体で、新技術の研究や地元の学生へのIT教育などを行っている。

 近年ではクラウドとOSSの融合が主要なテーマとなっており、OpenStackは重要な技術の1つ。阪本氏はそこでOpenStackの専門家として技術を深く研究したり、イベント開催時には自ら会場のハンズオン環境構築を手がけるなどした。

 沖縄オープンラボはビジネスではなく研究の場であるものの、参画を通じて研究成果を共有することができる。八木澤氏はこう補足する。「沖縄オープンラボは参加したエンジニアに研究スキルを習得してもらうこと、参加団体の横のつながりを広げることも目的です。ゆくゆくは研究で得た知見を将来のビジネスで生かせたらという期待もあります」

レッドハット試験を選んだ理由

OpenStackはインフラ技術の集大成
試験を通じて知識を網羅できる実技試験ならではのトラップも

 OpenStackの技術者認定試験というと、レッドハットが提供する試験以外にもいくつかある。なぜレッドハットの試験を選んだのか、八木澤氏にたずねると「当時、OpenStackの試験はレッドハットさんともう一社くらいしかありませんでした。その中でも、実機試験があり、知名度もあるのがRHCSA −Red Hat OpenStack−認定でした。」と指摘する。

 藤田氏は「これまで様々なベンダーの技術者認定試験を受験していますが、実機試験は珍しいです。限られた時間内で、試行錯誤しながら問題を解決しなくてはなりません。知識だけを問う試験とは求められる実技スキルが違います」と話す。

 レッドハットの試験ではあらかじめ障害が発生するように仕込まれており、この問題の解決が受験者にとって大きな壁となる。八木澤氏は「試験は3時間。何もなければ1時間程度ですむ作業です。『これなら楽勝だ』と思っても、トラブルシューティングを行うために苦戦します。最初の課題でつまづいて先に進めなくなると、ゼロ点もありえます」と話す。

 阪本氏は試験を通じてスキルの横展開を達成したと話す。「これまでネットワークしかやってこなくて、サーバー周辺は未経験に近い状態でした。そのため試験前は1か月ほど、毎日のようにOpenStack環境の構築を『作っては壊し』を繰り返し、足りない分野を補いました」。同じように、八木澤氏は「私はストレージ周辺が弱かったのですが、OpenStackを通じて分散ストレージの仕組みをあらためて理解しました」と話す。

 OpenStackはインフラ技術の集大成とも言える。マスターするには一定のインフラエンジニアとしての経験がないと厳しいものの、インフラ技術全般を網羅するには試験はいい目安となる。またレッドハットの試験は実践力が問われる実機試験ということだけでなく、障害が組み込まれているためトラブルシューティングの技能も求められる。「この試験に挑戦することで得られる経験は貴重だと思います」と藤田氏は言う。

技術者育成と今後の展望

全社挙げて有能なOpenStack
エンジニアを育成に取り組む若手こそOpenStackを習得すべし!

 早々に資格取得したメンバーはその先をすでに見すえている。藤田氏はこう話す「これまで数多くの現場を経験していますが、どこにいても『この人に聞けば解決できる』という技術のとんがった人がいます。私も『OpenStackなら藤田さんに聞けば分かる』と現場で頼られるようになりたいです。今はOpenStackのコンポーネントが複雑で、文献を読んでは実機で検証することを繰り返し、知識を広げているところです。これからもOpenStackの最新動向に追いつくために走り続けていきたいです」と話す。

 阪本氏はコミュニティとの関わりを一層深めていきたいと話す。「ネットに情報は転がっていますが、コミュニティ活動をしていないとついていけないのではと感じています。自分のスキルを高めていくためにも、人脈を広げていくためにもコミュニティには積極的に顔を出していきたい」と話す。OpenStackのコミュニティには、アドックインターナショナルから日本語翻訳チームに参加を認められたメンバーがいる。「まずは1人目のコントリビューターです」と八木澤氏。

 OpenStack技術の社内展開も進んでいる。アドックインターナショナルでは2016年2月に約30名の社員向けにOpenStack講習会を実施した。「講習以降、OpenStackの認定資格取得者は他社の資格を含め30人ほどになり、一気に増えました」(八木澤氏)

 現在OpenStackの技術自体は普及しつつあるが、エンジニアが圧倒的に足りないというのが実情だ。八木澤氏は「OpenStackで有名な大手IT企業ですら、『うちにはOpenStackエンジニアは数名しかいない』と言うので驚いたことがあります。現実的にはOpenStackの専門家はまだごくわずかしかいないのです。しかしうちは全社を挙げてOpenStackのエンジニアを増やす取り組みを推進しています」と胸を張る。

 八木澤氏は最後に、「現状、新人にはネットワーク技術とLinux、いずれかまたは両方挑戦させています。かつてのクローズドソースやベンダー技術は契約がないと触ることができませんでしたが、オープンソースならいつでも無料で試せます。触れる敷居は下がりましたが、これからは自主性が必要となります。またエンジニアにとって、ともに歩める技術があると支えになります。中でもOpenStackはまだ若い技術で原始的なところもありますが、だからこそ若手のエンジニアには今からOpenStackを習得して一緒に成長してほしいなと思います。これからはOpenStackのエンジニアを増やし、プライベートクラウドを必要とするお客様にOpenStackを積極的に提案していきたいです」と、若手への期待を語った。

株式会社アドックインターナショナル

会社概要

  • 社名
    株式会社アドックインターナショナル
    ADOC International Co.,Ltd.
  • 設立
    1990年9月1日
  • 本社
    〒190-0012
    東京都立川市曙町2-36-2
    ファーレ立川センタースクエアビル 11F
  • 資本金
    1億7,420万円(2015年9月1日現在)
  • 社員数
    236人(平均年齢34歳)
    (2015年9月1日現在)
  • 事業内容
    通信システムの設計・構築・運用・保守、通信運用システムの開発・販売・アウトソーシング
  • Webサイト
    http://www.adoc.co.jp/

アドックインターナショナル人材の強み

OSP(オペレーション・サービス・プロバイダー)として

創業は1990年。日本製局用交換機の海外展開から事業を開始したため、通信業界には強く、通信システムの設計、構築、運用、保守を手がけています。根底にはOSP(オペレーション・サービス・プロバイダー)という考え方があります。調査から設計、実行を経てパフォーマンスを向上させ、保守までも行います。お客様の要望や効率を第一に考え、付加価値のあるサービスを提供する、つまり運用者目線でサービスを提供しています。インフラ技術がいま仮想化からクラウドへと転換するなか、アドックインターナショナルは全社を挙げて最新技術をキャッチアップし、インフラのプロフェッショナルを育成しています。

Red Hat Enterprise Linuxの実践的なスキルを身につけられるトレーニングをご用意しています。

Red Hat OpenStack AdministrationⅡ
コースコード CL210
コース概要 システム管理者向けのこのコースでは、インストール、設定及び保守を含む、Red Hat OpenStackを使用したクラウドコンピューティング環境の実装方法を学習します。受講生は、ハンズオンラボを通して、Red Hat OpenStackの各種設定や運用の方法を学習するとともに、OpenStack開発コミュニティの将来計画についても確認することができます。
コース内容
  • ・クラウド上へのOpenStackのインストール
  • ・KeyStoneアイデンティティ・サービスの管理
  • ・フレーバーの管理
  • ・ネットワークの管理
  • ・フローティングIPアドレスの管理
  • ・セキュリティグループの管理
  • ・インスタンスの管理
  • ・Computeノードの追加
  • ・カスタマイズイメージの構築
  • ・Red Hat OpenStack Platformディレクターのデプロイ
  • ・スケーラブルなスタックのデプロイ
  • ・Red Hat OpenStack Administration II のまとめ
受講対象者
  • ・プライベートクラウドの管理に責任を持つLinuxシステム管理者およびクラウド管理者
  • ・RHCSA認定または同等レベルの知識をお持ちであることを強く推奨致します。
  • ※適切なスキルセットの知識を持っているかどうかがわからない場合は、こちらのオンラインスキルチェックで確認してください。
日数/時間 4日間 9:30~17:30
標準価格 216,000円(税別)
RHCSAーRed Hat OpenStackー認定試験
コースコード EX210
コース概要 Red Hat OpenStackの認定資格の取得を目的として、提供される試験です。Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platformを使用した、プライベートクラウドの作成、設定、管理を行うためのスキル・知識を評価します。試験は実技を使ったハンズオン形式で行われます。
受講対象者
  • ・Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platformの使用スキルを証明したいと考えているシステム管理者
  • ・RHCSA認定または同等レベルの知識をお持ちの方
試験時間 3時間
標準価格 90,000円(税別)
Red Hat OpenStack Administration Ⅲ
コースコード CL310
コース概要 分散ストレージであるRed Hat Ceph StorageとOpenStack Neutronのネットワーク機能を使って、システム管理を行うためのスキルを身につけていただきます。
コース内容
  • ・Deploy Red Hat Ceph Storage
  • ・Manage snapshots in Red Hat Ceph Storage
  • ・Access Ceph storage through RBD and RADOSGW
  • ・Deploy Calamari Console to monitor and manage Red Hat Ceph Storage
  • ・Configure Red Hat Ceph Storage as a storage backend for OpenStack Services
  • ・Manage VXLAN, VLAN and GRE based networks
  • ・Deploy and using LBaaS in OpenStack Neutron
  • ・Troubleshoot Neutron issues
受講対象者
  • ・RHCE認定または同等レベルの知識をお持ちの方
  • ・RHCSAーRed Hat OpenStackー認定または同等レベルの知識をお持ちの方
日数/時間 4日間 9:30~17:30