THE ENTERPRISERS PROJECT


Inc.com ビジネステクノロジーライター 兼 コラムニスト
Minda Zetlin
2017年3月2日

大規模なエンタープライズであればどのような企業でも、すでに耐用年数を過ぎ、現在のスタンダードから考えた場合には非効率ともいえるレガシー・システムをいくつか利用し続けており、またそれが新たなテクノロジーのメリットを最大限に引き出すことの妨げにもなっているはずです。このような場合は大規模なリプレイスを試みたり、それによって確実に勃発する旧システムに慣れ親しんだユーザーからの反発に格闘するのではなく、システムの有用性に焦点を当てて動くべきだとアドバイスするのは、CBS Interactiveの先のCIOであり、現在はマイクロ・アプリケーション・プラットフォームを提供しているSaphoでCTOを務めるPeter Yaredです。今回のThe Enterprisers Projectのインタビューでは、彼がこれについて詳しく説明してくれます。



The Enterprisers Project (TEP):なぜこれほどまでに多くの企業や組織が、技術的な負の遺産という重荷を抱えているのでしょうか?

Peter Yared:システム・アップグレードに対する経済的な正当性が無いために技術的な負の遺産が生まれるのです。また、まったく新しい運用環境と比べること自体が間違っているとも言えます。

トレーニングを受け、日々そのシステムを利用しているユーザーにとってそれは重荷ではなく、ちょっとした不便でしかありません。しかし頻繁に利用しないユーザーにとってレガシーなシステムは注文書を発行したり、休暇申請を出したりするのと同じく面倒で手間のかかる不便を意味しているのです。マシンラーニングを使えばレガシー・システム中の何が有用であるのかを見極めることが可能で、たまにしか利用しないユーザーに、それをサービスとして提供できるようになるはずです。

TEP:レガシー・システムの高い堅牢性と信頼性を支持するITリーダーも存在します。組織は、新たな機能やイノベーションを追加していくことと、これまで永きにわたりビジネスを支えてきたテクノロジーとの間の適切なバランスを、どのようにして見つけ出せば良いのでしょうか?

Yared:高い堅牢性と信頼性については私も支持します。まだまだ充分に使え、確実に機能を提供してくれている給湯器が自宅にあったとしたなら、あなたは意味もなくそれを新しいものに取り換えますか?システムが充分に機能を提供しており、堅牢であったならそれを刷新する理由はどこにもありません。しかし、いつかの時点でユーザビリティとインテグレーションが重要性を帯びてきて、システムをアップグレードして有用性を高めるか、もしくは完全に刷新するのかの決断を下す時がくるのです。

一般的にレガシー・システムはエンタープライズがどのように運営されているかに基づいて開発されています。しかしそれは、変える事が極めて難しい非効率なビジネス・プロセスを持っているエンタープライズが世の中に存在していることも表しています。それらのビジネス・プロセスを新しくする際、組織は自社内にあるレガシーなシステムを外部ベンダーのものに置き換えたり、既存の組織を強制的に近代化するために新しいソフトウェアを用いるような場合もあります。

TEP:殻を打ち破っていくという点で、常に痛みが伴うであろうこれらの変化を管理していくための良いアドバイスはありますか?

Yared:レガシー・システム上のロジックをベースにしたチーム間の連携や、恒常的にシステムを利用しているユーザーに運用方法の変化を強いるので、全てを刷新してしまうことは破壊的であり、また、相応のコストも伴います。私はCBSに務めている間、顧客が利用する多くのレガシー・システムのリプレイスを図ってきましたが、予想していたとおり常になんらかの問題が発生しました。スタッフは、仕事の進め方を変えなければいけないと分ると動揺を隠し切れませんでした。ビジネスに深く根ざしているためリプレイスが行えないシステムがあったのも事実です。そのようなシステムでは、どうすれば有用性を向上できるか考える必要があります。

TEP:レガシー・システムを扱っていくCIOとCTOにアドバイスをお願いします。

Yared:完全な刷新を図る場合やそうでないに場合にしても、それには時間が必要であるということを忘れないでください。その間、時折利用するユーザーのために有用性の向上に取り組んでください。たとえばマネージャーのための操作性に優れたアプリケーションの集中認証プロセスや、従業員がKIPを容易に確認できる環境を用意するだけでも物事は大きく変わってきます。大きな労を要せずに既存のレガシー・システム上に構築でき、ユーザーに利便性をもたらすことが可能なタイプの特定のアプリケーションも存在します。

信じられないかも知れませんが、従業員がメインフレームのターミナルから重要な情報を引っ張り出している企業を私たちはたくさん見てきています。メインフレームをリプレイスせずとも、これらのユースケースの利便性を高めることは想像以上に容易に可能なのです。

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